#035-0013「手紙」2009年06月01日 18時38分22秒

拝啓
緑深まる初夏の候、皆様如何お過ごしでしょうか?
ご無沙汰して申し訳ございません。

旅立ってから早いもので、じき2年になります。
その間、月の裏側に引越しいたしました。
バオバブならぬバナナの木が1本あるだけで、主人と猫と3人暮らし。
ふわふわとメレンゲの上を散歩する時もあれば、黙々とアリンコの行列を数える日々が続いたり、じっとうずくまってスペース・デブリをやり過ごす日もありました。
ある日、長くかきまぜていなかった糠床に、ぽっかり穴があいていたので覗いてみると、片手腕立て伏せをする白雪姫が見えました。
みんながんばってるんだなぁ、と罪悪感を覚え、お手紙を書いてみることにしました。

あの頃からずっと、「書く」という行為について考えていました。
作家になりたいわけでもなく、かといって別に嫌いでもない。
では、「書く」ことに何の意味があるのでしょう。
インターネットでは、文字情報を書き込まない限り、その人の考えや存在が確認されないのです。
「我書く故に我あり」。
ただ一言「私は元気です」と書くことは、誰も気がつかないかもしれないけれども、その一言で安心する人もいるかもしれない。
されど一言書くだけでも、なんと労力の要ることよ。
言葉で表現するということは、生まれてからこのかた、五感で感じた全てを総動員しなければいけないのですから、そりゃ大変な行為です。
それでも存在するために、書く努力をしないといけないのでしょう。
但し、私は白雪姫とは違うので、今日はこのまま糠床をしまっておこうと思います。

旅立ちとは、古いしがらみと離れて新たなる地を訪れることですが、その実、例えよその星にいても地続きで、生きて行く限り終わることのない道がつながっているのだと感じることがあります。
いえ、死んでも途切れることはないのかもしれません。

またいつかお会いできる日を夢見て。
敬具
(文字数:769)
名前:

コメント

_ ヴァッキーノ ― 2009年06月01日 22時53分05秒

手紙って文字だけでも、ある程度感動してしまうのは
なんででしょう?
封がしてあるからでしょうか?
いえいえ、それを開けるタイミングがボク次第だからなのかもしれません。
悲しい時に封を開けたら、
寂しい時にもう一度読み返したら
うれしくなるからなのかもしれません。
あらあらかしこ

_ ウラジーミル・コマ子 ― 2009年06月01日 23時05分15秒

「片手腕立て伏せをする白雪姫」のところにきて期待は高まりましたが、全体として中途半端になった印象がのこりました。もっとポストモダンふうにつきぬけてほしいと思いましたが、もしかしたらそんな紋切り型は避けたかったのかもしれません。作者の実力がわかりやすい手紙文体で、好みをこえて味わいました。

_ 差出人 ― 2009年06月02日 00時52分25秒

ホントにご無沙汰してすみません。
最近はまた匿名なんですね。失敗しました。
作品というより、本当にお世話になった皆様に、せめて元気ですとお知らせしたかった、本当の手紙なんです。
差出人名がないと、全く意味をなさない文章でした。
すみません…

_ 木の目 ― 2009年06月02日 17時53分27秒

お元気そうで何よりです。
差出人様、早々にお名前を出してコメントされてもかまいません。案外それのほうが楽しいかもしれませんよ。皆さんも近況が聞きたいでしょうし。
まあ、「猫と暮らしている」、「旅立って二年」ということばで、以前からの投稿者には、あ、あの人だなとおおよその察しはつくはずですが。
その節は、本当にありがとうございました。
猫の名前は…

どうぞご正体をお明かし下さい。

_ ukihaji-12 ― 2009年06月03日 10時39分09秒

 手紙を書くと言う事は楽しいし自分以外に、意思の伝達にはこんな便利なものは無いですね。少しでも解りやすくそして上手く、文章塾での皆様との切磋琢磨が、大いに役に立つ事でしょう。

_ 差出人こと百吉 ― 2009年06月04日 11時57分55秒

すみません。
それじゃあカミングアウトしまーす。
皆様お久しぶりです。

ヴァッキーさん
すてきなコメントありがとう。
またいつか開いてくださいね。

コマ子さん
これはフィクションでもなんでもありません。
でもそういう話も書いてみても良かったかも。

木の目さん
ご無沙汰してすみません。
集中力が切れてから、復帰できなくなってしまいました。

ukihaji-12さん
すみません、お久しぶりです。私です。
これからもよろしくお願いします。

_ なぎさひふみ ― 2009年06月04日 15時57分19秒

 お幸せそうでなりよりであります。そう、何もいらないのですよ、幸せ波動こそ、いま人類に一番必要かつ切迫したことではないかと思うからです。
 百吉さんの日々の喜びと慈しみが標準の波動として、広がっているのです。そしてそれは時間と空間は関係ありません。だって愛より以上の普遍はないのですから。

_ just4U ― 2009年06月04日 20時37分03秒

文章塾はじめてのjust4U と申します。恐縮ですぅ。
皆様のコメントを作品を拝見させていただいて、
文章の渦に翻弄されたり、勇気づけられたり、また、
早々と予想以上に多くの方に自分の短編が
読まれたのを知り、それにも驚いてもいます。
百吉さまにも、コメントをいただき感謝しております。
この「手紙」の導入の想像力の豊かさに、嫉妬も
感じつつ、「文章塾」の歩みの一端を垣間見ることができ、今回が、最後なのかぁとぼやきながら、でも、1回でも自分も投稿できた幸運に感謝しています。恐縮ですぅ。

_ おさか ― 2009年06月06日 19時55分53秒

ももさん
お元気そうで何よりです(えへ
別れがあり出会いがある
終わったように見えても何もかも消滅したわけではない
続いていく道がある

同感です♪

_ よっば ― 2009年06月06日 20時13分30秒

せっかく久しぶりのあの人かも…と思いながら読んでいたのに、公認自爆なんて…(笑)
ま、いいか♪

_ 百吉 ― 2009年06月08日 01時14分40秒

なぎささん
わーん 慈愛に満ちたコメント、目頭が熱くなります。
おかげさまで、お金はないけれど愛はある生活をしております。

just4Uさん
はじめまして。恐縮ですぅ♪
もちろん、作品を拝見して楽しませていただきました。
文章塾の醍醐味といったら、自分の作品より他の方がどんな風にお題を噛み砕いて消化してくるか楽しみで、またそれをどう読むか人それぞれなスリリングさや、それを重ねていくうちに目に見えて進化していくおもしろさといったところでしょうか。
またこれからもなんかありそうですので、よろしくお願いいたします。

おさかさん
えへ。出しちゃった。
私なりに文章塾メンバーにメッセージを送ってみたのですが。
白雪姫s(複数形)の一人であるおさかさんにエールを送ります。

よっぱさん
わーい。覚えていてくださったんですね。
こんな手紙来たら速攻ゴミ箱行きだと思ったので、署名しました。

_ つとむュー ― 2009年06月09日 22時39分54秒

>インターネットでは、文字情報を書き込まない限り、その人の考えや存在が確認されないのです。
>「我書く故に我あり」。

同感です。僕も同じようなことを考えたことがあります。でも、全く逆の意味で。
インターネットでは、文字情報を書き込み続けていれば、例え実体がなくてもその存在が認められるような気がします。本名も素性も知らない作者の作品が、これほど生き生きとダンスする文章塾のように。これもまた、我書く故に我あり。
月の裏に住んでおられるということでご存じとは思いますが、月の裏には月影ネットがありますよね(笑)。そこに書き込まれた物語は、地球が滅亡してしまった時、フィクションなのかノンフィクションなのか、誰にもわからなくなってしまうと思うんです。そんな登場人物のダンスを見届けるのも、月の裏側の住民の使命なのかもしれません。
誰かが読んでくれれば、登場人物は踊り出します。我読む故に彼あり。いや、彼女だったかもしれません・・・(いったい僕は何を書いているんだろう。深夜に書いた恋文みたい。まあ最後だから、酔っぱらってるってことにしておいて下さいな。さあ飲むか・・・)

_ 蝶子 ― 2009年06月11日 09時01分48秒

しみじみしたいい手紙。
ところどころにぴりっとしたジョークの粒も見えて、百吉さんの人となりが見えるようです。

本当にお世話になりました。
言葉に尽くせぬほどです。
愛するものたちとかけがえないの時間を過ごすあなたへ。

_ マロ ― 2009年06月12日 00時57分40秒

書くという行為の意味は、きっと人によってそれぞれ違うんでしょうね。

自分という存在を外に向かって発信するというのもあるでしょうし、逆に、自分の内側に潜行していくために書くというのもあるでしょう(鍵付き日記)。

しみじみ考えちゃいました。

_ 矢菱虎犇 ― 2009年06月13日 05時06分15秒

初めまして。矢菱虎犇という新参者です。
手紙の中のメレンゲ、アリ、スペース・デブリ、片手腕立て伏せの白雪姫の象徴するものを考えるとクスクス楽しかったです。それで百吉さんの文章、過去に遡って読ませていただきました。女性らしい、地に足のついた文章ですね。統一感を感じました。
ぜひまたお会いできることを願っております。

_ おっちー ― 2009年06月13日 10時32分49秒

ももきっっっさん!!!

 お久し振りです。
 といいつつも、先日は僕の文章へのコメントを頂きましたし、もっと以前になりますが、コメントだけで文章塾に参加された事もありましたよね。
 その時は、「卒業」されても文章塾の事を気に掛けて下さっているのだなあ、ととても嬉しくなったものでした。

 以前コメントで「ひゃっきちとか読んでました。」と、恥ずかしい告白を僕がしたのを憶えていらっしゃいますか?
 懐かしい思い出です。

 さて、感想。
 すごく、あまい、トロッとした、ファンタジックな、これを男性が書いてたとしたら張っ倒すぞ、とても女性らしい、でも読み易くて整理された、またそこも女性らしい、気持のいい、お手紙ですね。勿論1節は冗談ですが。
 よくまとまっているところが良い所であり、欠点でもあります。
 どこか1箇所でも突き抜けたイメージがあると、もっと全体が引き立つし、おっ読みたいな、と思わせる文章になります。
 今回は百吉さんが書かれた、ということが分かって、読み返す時の集中力が、俄然上がりましたよ。なはは。
 ではでは。

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