#035-0003「人生への旅立ち」2009年06月01日 18時34分38秒

 第三十五回の文章塾は旅立ちと言うテーマが与えられた。今回で最終回終了との事ですが、ヘチマ亭々主様には文章の見本の数々、事務局の本田様・木の目塾長様・塾生の皆様には推敲と切磋琢磨の文章の何たるかを学ばせて頂きました。感涙雨霰誠に有難う御座いました。然るに独り旅立ちとは誠に心許無い、これ将に晴天の霹靂です。思い起こせば今を去ること四十九年前、青雲の志を胸に秘めて東京に人生への旅立ちをしたのであります。

 始めて見る東京駅、俗説によるとオランダのアムステルダム駅を模したと言うが、日本の首都の大きい事と素晴らしい建築物に先ずは圧倒される。嬉しい、よぉしー頑張るぞ!一旗挙げて故郷に錦を飾るぞと、全身に生気が漲る。就職先のM電機へと一抹の不安も在るが、大きな期待を胸に秘め急ぐのである。応接室では社長の歓迎の挨拶と、会社の概要の説明を受ける。社長は同郷出身であり誠に心強い。因みに会社創立の苦労話が心に残る。

 工業高校機械科専攻でクラスの殆どが就職、当時大学進学者はクラスから二人程度でしたし、一端のエンジニアだと自負していた。配属された職場は機械の騒音と油まみれ、こんな筈では無かったとじっと手を見る。耐えること数年にして機械三十七台と、後輩二十名を任される機械課部品加工係り主任を拝命した。有頂天にして数年四六時中職場の事ばかり、創立記念日に改善提案で一等賞を受賞。賞金は給料二ヶ月分人生最良の歳であった。

 突然工場長に呼ばれ生産管理課主任を命じられる。販売課の販売計画による部品の外注調達と、社内加工の振り分け発注するのが主な仕事。課長と主任と女子数名で計十名の職場である。電卓も無い時代で、女子はソロバンで数十種類の部品の数を計算。調達を間違えると二階の組立コンベヤが止まる事になる。技術部門から管理部門への転進は及ばず思い悩む。課長曰く主任は女子の計算から発注書を作れと言うが、嗚呼如何にせん万事窮す。


(文字数:800)
名前:

コメント

_ ウラジーミル・コマ子 ― 2009年06月01日 21時22分06秒

作品としては、むしろ読者としてか、梯子をハズされた読後感はありながら、文章にみなぎるものが印象ぶかく、これぞ切り分けることのできない人生! こう終わることの必然性もまた思わされました。

_ アンナ・モイト ― 2009年06月01日 21時31分26秒

主人公のクラスの中で大学に進学したのは1~2名で、主人公は大学へ進学せず就職したのですね。リレーでは、大変失礼しました(汗)。なんで勘違いしてしまったのだろう・・・(最後の最後にやってしまいました)。大変申し訳ございません。

_ アンナ・モイト ― 2009年06月01日 21時38分17秒

あっ、上のコメントは、この作品の作者さんが文章リレーに参加された作者さんと推測した上でのコメントです。

もし、文章リレーに参加されていない、という場合は、こちらの勘違いですので、上のコメントは無視して下さい。よろしくお願いいたします。

_ ヴァッキーノ ― 2009年06月01日 21時39分08秒

文章の構成がすでに大御所って感じがあるんですけど
敵に立ち向かって上段に構えた刀を、
すっと引いて鞘に納めるような、イサギいい読後感です。
これで最後になるのか、それとも・・・・・・。

_ 作者 ― 2009年06月03日 13時49分43秒

ウラジーミル・コマ子さま
アンナ・モイトさま
ブァツキーノーさま

 読んで頂いてコメントを頂き、感謝もうしあげます。皆様とのお別れが惜しまれますが、また何時の日にかお会い出来る日を楽しみにしております。

_ よっぱ ― 2009年06月03日 22時24分10秒

約半世紀前の、気合充分で上京された頃の熱い気持ちが今なお心の中に消えずに残っている。そんな印象を受けました。
私は四半世紀前のあの頃の思いをこうも熱く憶えていません… 一生懸命生きていなかった証でしょうか。
いつも、心にスッと入るお言葉をありがとうございました。

_ 百吉 ― 2009年06月04日 11時07分50秒

うわー、どうする?と思わせて終わる、作者の脂汗を感じる作品でした。
文章塾の終わりもきっとそんな思いなのでしょうか。
でもきっと、何かたくらんでる人がいると思うのですが…。

_ 作者 ― 2009年06月04日 13時32分21秒

>よっぱさま
>百吉さま

 拙い作品を読んで頂き、コメント有難う御座いました。其の都度の切磋琢磨は勉強にもなり、楽しくて過させて頂きました。誠に残念ですが、復の機会を期待しています。

_ なぎさひふみ ― 2009年06月04日 16時35分52秒

 いかに人はどんな状態であっても、輝かしいひかりで周りを照らしている。生きることは情熱であり、それは過去でもなく、未来でもない。
 生きているという情熱の、その証に、過去があり、未来なのだ。

_ マロ ― 2009年06月05日 00時13分38秒

 上京当時の熱い気持ちが、よく伝わってくる文章でした。おそらく、社会全体も前向きにがしがし進んでいくような、そういう古き良き時代だったんでしょうね。
 真っ直ぐに仕事に向かっていく作者様の姿勢もまた、素晴らしいです。

_ 作者 ― 2009年06月06日 08時16分48秒

>なぎさひふみさま
>マロさま

 拙い文章を読んで頂き、コメント有難う御座いました。然るに其の都度の塾生間の切磋琢磨は、非常に勉強になりました。ワクワク楽しく過させて頂きました。誠に残念ですが、復の機会を期待して何時の日にかにお会いしましょう。

_ 木の目 ― 2009年06月06日 11時08分46秒

不思議なもので、お会いしたことのないかたの人生を、親戚のおじさんと飲みながら話している気になっています。

確かに人の出会いは、血縁、地縁、学校縁、仕事縁と言うものが大部分を占めるのでしょうが、インターネットで触れ合うのも他生の縁であるのかもしれません。

さて、またの機会、こんどはさらなる場を求めてパワーアップをはかる人たちが集うことになるのでしょう。

_ おさか ― 2009年06月06日 13時47分20秒

お久しぶりでございます
いつも作者さまには、元気と希望を分けていただいておりました
心より御礼申し上げます

文章塾は終わってしまいますし
しばらく休んでいた私がこう言うのも何ですが
どうぞこの先も、書き続けてくださいませ
後につづくもののために
ご自分の生きてきた軌跡を、是非書いていただきたいと思います

作者さま自身も、そういうおつもりで書かれた文章だと拝見いたしましたが、いかがでしょうか?

_ 作者 ― 2009年06月06日 20時58分33秒

木の目(塾長)さま

 拙い作品を読んで頂き、コメント有難う御座いました。其の都度の塾生間の切磋琢磨は非常に勉強になり、楽しくワクワクさせて頂きました。特に塾長さまからのご指導とご指摘には、心から感謝致しております。誠に残念ですが、復の機会を期待しています。

_ 作者 ― 2009年06月06日 21時21分48秒

>おさかさま

 お久し振りですね! お元気で何よりです。おさかさんとの出会いは貴女様のホラー小説。突然驚きましたよ、何と素晴らしい発想だと、記述力と構成に唯驚くばかりでした。貴女様の記載した文章より、どれだけ多くの事を失敬させて頂いたやら感謝申し上げます。誠に残念ですが、復の機会を期待して何時の日にかにお会いしましょう。

_ just4U ― 2009年06月06日 21時43分55秒

「嗚呼如何にせん万事窮す。」
文章塾はじめてのjust4Uと申します。
実話かなと思いつつ、
最終回かと思いきや、
この物語は続きがありそうで、
実話だったら興味深々です。
格調高い文体に圧倒されています。
新参者で勝手がわからず、
不適切な発言もあると思いますが、
広い心で、受け止めていただけると
幸いです。
「嗚呼如何にせん万事窮す。」
今回で文章塾が最終回だったのですね~。

_ 作者 ― 2009年06月07日 08時00分36秒

>just4Uさま

 貴方様の言われたとおりです。私の人生そのもの実話です。私も年頃で部下の女子社員を前にして、私の苦悩をお察し下さい。初めての職場とはいえ主任職ですし、采配や指導も出来ず苦悩は増すばかり、ノイローゼ一歩手前でした。以後の事はご想像にお任せします。良くも悪くも人生への旅立ちです。当時私も若かったし、会社の栄転人事が解らず、 「嗚呼如何にせん万事窮す。」  となったのです。この歳までも元気で居られたのは、若い時の苦労が報われたのかも知れません。 わたし以外みな師。全てに感謝す!

_ おっちー@携帯 ― 2009年06月07日 18時50分51秒

作者 様 長い間、大変お世話になりました。 僕の見当外れなコメントにも寛大なご配慮を頂き、本当にありがとうございました。 とはいえ、僕はこれで終わりだとは思っておりません。 まだまだお世話になり続ける事と思っています。 これからも何かありましたらよろしくお願い致します。 作者さんも、これまで通り活躍し続けてくださいね! またWeb上でお会い出来る日を楽しみにしております! そして、この作品の後......この窮地をどう乗り越えられたのか。いつか教えてください!! それではでは、失礼致します!

_ 作者 ― 2009年06月07日 21時22分42秒

>おっちー@携帯さま

 拙い作品を読んで頂き、コメント有難う御座いました。長い間其の都度皆様のコメントによる切磋琢磨は、非常に勉強になり楽しくワクワクさせて頂きました。こちらこそ皆様に勇気付けられました。木の目様も今後の事に就いてお考えが有るようですし、多くの皆様からも最終回を惜しまれていますので、何か良い方法が見つかるかも知れません。復お会い出来る日を楽しみにしています。その節は宜しくお願い致します。

_ つとむュー ― 2009年06月08日 22時40分58秒

>課長曰く主任は女子の計算から発注書を作れと言うが、嗚呼如何にせん万事窮す。

最後の最後で、難しい命題をいただきました。万事窮すとは、部下の計算間違いが多いからと読み取りましたが、その原因は何故なのか?部下が若かったから?未熟だったから?それとも美しかったから?(笑)
男と女。小説にとって、どちらもなくてはならない存在です。同じ地球上で生活していますが、全く別の生き物なんですよね。女の子と男の子を育てていて、強くそう思います。
コメントを書きながら、何を言いたいのか全くわからなくなってしまいました。でも一つ、これだけは言えると思います。計算間違いを多発するのが男子社員だったとしたら、この作品は生まれていなかったんじゃないでしょうか。だって小説には、男と女が必要なんですから。

最後になりましたが、今回、リレーに参加いただきありがとうございます。リレーへの参加の仕方がもっとわかりやすかったら、と反省しておりますが、とにかく今回参加していただきうれしく思います。リレーでは、話が思わぬ方向に進んでいったと思いますが(僕も原因の一つです。お許し下さい、涙)、コメントなどいただけましたら幸いです。

_ 作者 ― 2009年06月09日 06時25分44秒

>つとむューさま

 拙い作品を読んで頂き、コメント有難う御座いました。長い間其の都度皆様のコメントによる切磋琢磨は、非常に勉強になり楽しくワクワクさせて頂きました。こちらこそ皆様に勇気付けられました。
 >課長曰く主任は女子の計算から発注書を作れと言うが、嗚呼如何にせん万事窮す。 となったのは女子社員の計算ミスではなく、全て主任職私の責任で、社内外への部品調達がなされ、その責任の重大さに驚き、嗚呼如何にせん万事窮すとなったのです。発注書如何で二階のベルトコンベヤが止まり、会社に重大な損害を与えるかも知れません。
 今回で最後と言う事で、初めてリレーに参加させて頂きました。長い間のお世話ご苦労様でした。復何時の日にか、お目にかかれる日を楽しみにしております。その節には宜しくお願いします。

_ 蝶子 ― 2009年06月10日 11時00分32秒

楽しませていただきました。技術職に誇りをもってらしたのに、管理部門の中間管理職とは心中お察しいたします(笑)。今の若者なら「こんなのオレの仕事じゃねーし」「やってらんねーし」とかいって出身大学の指導教授を逆恨みしたりするところです(笑)。

ときどきブログは拝読しています。
貴殿の文体がどれほど私に多くのものを与えてくださっているか、きっとご自身はちっとも自覚してらっしゃらないことでしょう。一語一語に、一節一節に、一文一文に、もう取り戻せない失われたこの国の息遣いを感じるのです。筆の続く限り、どうか書き続けてくださいね。まだまだ、学ばせていただきます。

_ 作者 ― 2009年06月10日 14時14分09秒

 >蝶子さん

 しばらくご無沙汰致しておりましたが、お元気で何よりです。コメントを通して復お会いする事が出来ました。感慨無量です。拙い文章を読んで頂き、コメント有難う御座いました。これまで其の都度の塾生間の切磋琢磨は、非常に勉強になりワクワク楽しく過させて頂きました。貴女様やおさか様の深い労わりに感謝致します。 
 ブログを読んで頂き、お褒めのお言葉恐縮に存じます。私は創作なんて出来ませんし、全ては過去の経験です。少しでもお役に立てる所が在りましたら、これに尽きるお言葉はありません。これで最終回・・・・・未練は尽きませんが、木の目様が何か一案在るようですし、その節には宜しくお願い致します。復の機会を期待しております。

_ 矢菱虎犇 ― 2009年06月12日 02時31分01秒

相当のご年齢、気骨ある方の作と拝読いたしました。漢語の多用、助詞の省略が、簡潔で引き締まった印象を作り上げていると思いました。読み手を意識したときの敬体と、自身を語るときの常体とが混在しているのもインパクトがあります。内容はもちろんのこと、こうした人生の歴史の重みが滲み出してくる文章は、小手先でマネようとしても絶対にマネできません。感服しました。

_ (未記入) ― 2009年06月12日 09時08分04秒

>矢菱虎犇さま

 拙い文章を読んで頂き、コメント有難う御座いました。今まで其の都度の塾生間の切磋琢磨は、非常に勉強になりワクワク楽しく過させて頂きました。この度は大変お褒めを頂き恐縮に存じます。今回で最終回とは誠に名残惜しく残念ですが、復の機会を期待して何時の日にか、お会い出来ます事をお待ち致しております。

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