#012-0007「約束」[両方]おさかさん2006年10月16日 00時34分55秒

「それで」
 泣いてはいけない。
「息子は、どんなふうに死んだんや」
 泣くな。それは俺の役目ではない。
「答えられんのか」
 白布の上に置かれた、端のすこし欠けた認印。
「まだ死にきってない病人を、置いて逃げた。そういうことか」
「もう、やめとけや、爺ちゃん」
 隣にいた少年がたまりかねたように口を出した。
「捨てて知らん顔することもできたんや。郵便で送りつけることだって。こうしてウチに届けにみえた、それだけで充分やないか」
 そないゆうても、こんな、こんなもんだけ。呟く声が途切れていく。
 中尉殿は立派な方でした。
 誰もが慕っておりました。
 堰きとめられた涙はあらゆる言葉を呑み込む。
 車を呼ぶというのを固辞するのが精一杯だった。

 外に出ると、秋の陽は早や傾きかけている。からからと木戸を閉め、ふと顔を上げた。
 なだらかな稜線をえがく山が、家の真後ろにそびえている。
 下ばかり見ていて気づかなかった。
 凄まじいばかりに色鮮やかな、紅葉の山。
  
 南洋の戦線を渡り歩いてきた中尉殿は、しばらく紅葉をみていない、と嘆いていた。
 俺の郷里の山は、秋になればそれは見事なものだぞ。
 
 その通り、息を呑む美しさ。

「これを俺の実家に届けてくれ。必ずだぞ」
 熱のさ中、最後まで笑顔だった。全軍出発の朝も、寝たふりをしていてくれた。せめても、と水筒に清水を一杯に汲みおいた。

 涙がどっと溢れ出す。あとからあとから流れ出す。俺はこどものようにしゃくりあげた。
「あの」
 先程の少年。
「これ、栗ご飯を握ったものです。母から・・・よくお礼を申し上げるようにと」
 泣き続ける俺の手に風呂敷包みをそっと載せると、少年は口を真一文字に締め一礼して去った。
 
 中尉殿。

 感謝します。
 貴方と同じ、この日本という国に生まれたことを。
 貴方のいのちを頂いて、ここにこうして立っていることを。

 俺は深々と頭を下げた。
 長いこと、家と山とを眺めつづけ、ようやっと歩き出した。
 包みはまだほっこりと温かだった。
(文字数:797)

コメント

_ トゥーサ・ヴァッキーノ ― 2006年10月16日 08時18分22秒

ボクは戦争を勿論、経験してませんし、戦争映画とか小説もあんまり見ません。だけど、なんとなく、ここの実家の景色が、目に浮かんできました。
じいさんの後ろ姿と「それ」を持ってきた人の表情を囲炉裏ばたから逆光のうちに眺めているような、そんな感じでした。

_ mukamuka72002 ― 2006年10月16日 18時14分15秒

前回「結託」で、珍しく難解だと指摘され、今回それを乗りこえどんなものを書くのだろうかと楽しみにしていましたが、実にわかりやすく、さらに深くなっていますね。
文体がとても斬新です。「」内のセリフと、心中の言葉の使い分けも見事です。僕は心の声を()で表したりしていましたが、安易だったと反省。お見事です。

何かここまで凄くなると、今までみたいに「洟垂れおさかのオチョボ口!」なんて、もう云えません。
とても大きな女性を見上げている自分を想像してしまいます。最高でした!

_ なぎさひふみ ― 2006年10月16日 18時24分23秒

 悲しみはいのちからやってくるのか。違う、それは愛というには大げさであるけれども、命と命の触れ合う、祈りに近い思いやりに、儚い一続きの夢を叶えさせてくれているからだ。

  ときはべに
  いのりのゆめの
  かないしひ
  いきわかれても
  しにわかれても

_ 露山露 ― 2006年10月16日 18時34分15秒

こういうヒューマンな、東芝日曜劇場ふうの物語を書かせると、天下一品ですね。それでいて「喰」みたいな体脂肪率3%のホラーも書ける。800字の枷が気の毒になりますが、こればっかりはね。さすがに今回はブーイングではなく讃辞の嵐でしょう。参りました。

_ おさか ― 2006年10月16日 20時04分38秒

トゥーサ・ヴァッキーノさん、
私も戦争は体験してません。ちょっと前までは、戦争についての興味も多分・・・それほどではなかった、と思います。最近になってから、なんだか「ええ~そうだったの!?」という話をいろいろ耳にするんですよ。というか耳に入るようになった、のかな年齢的に。これは全体としてはフィクションではありますが、「少年」は私の父です。当時どう考えても15か16くらいの父が、ホントにそんなこと言ったのかと思いましたが、書いてみたらなんとなく納得いきました。今更ながらマイ父、尊敬。

mukamuka72002さん、
きゃあ照れるじゃないですか、そんな。はい。確かに反省いたしました、前回。結果的に楽しかったのですがほんとは反則よね~。
会話と心の声のあたりを褒めていただいて嬉しいです。これが今回の私のキモでしたので。ありがとです。

ところで
>「洟垂れおさかのオチョボ口!」
こんなこと言ってたのねっ、知らなかったわ!きっ。

なぎさひふみさん、
>愛というには大げさであるけれども、命と命の触れ合う、祈りに近い思いやりに、儚い一続きの夢を叶えさせてくれているからだ。
うう、ありがとうございます。毎回うんうん、と頷いています。人間というのは、いろんな人の思いが連なってからまりあって出来ているんだなあと思います。

露山露さん、
なんか山本山みたいですが(笑
>東芝日曜劇場ふうの物語
ぷっ!そう来ましたか!ベタでした?でもね前半はほぼ実話なのよ~。実話の方がフィクションよりベタなもの、なのかも。
それにしても
>「喰」みたいな体脂肪率3%のホラーも
覚えてらっしゃるとは、感激。ありがとうございます。

_ 馥 ― 2006年10月17日 11時18分36秒

 戦後このお話のように、戦地で亡くなられた方々の遺品をお届けする話は私も耳にしました。
せめてこれだけでも日本の土を、そしてこの素晴らしい景色を見させてやりたい、と願われた方、私たちはこの方達に感謝しながら生きて行かなければならないのです、有難う御座います。
とても涙が出て止まりませんでした。

_ おさか ― 2006年10月17日 19時09分13秒

馥さん、
ありがとうございます。実際に戦争を肌で感じたことのある方にこんなふうに言っていただけて本当に光栄です。なにしろ所詮は聞き書きでしかないですから、実はすごく緊張して書いています。届けた人にも届けられた人にも、そしてそれを依頼した人にも、失礼のなきように、と。

_ 百吉 ― 2006年10月17日 19時21分45秒

ううーっ
泣けました。
そぎ落とされた表現が的確に文字数以上の描写と感情を表していますね。
茜色に染まる山と雲。
抱いた風呂敷包みの暖かさと感謝の気持ちが切ないです。

_ よっぱ ― 2006年10月17日 20時24分13秒

僕はおさかさんと違って戦争の体験はありません(笑)
戦争に関連した作品が3作(でしたっけ?違ったらごめんなさい)続いていますが、どれも見事な作品で惚れ惚れします。
そして、今回はきっと解り易さにも拘ったであろうと思いますが苦労のあとも見せず、素晴らしい仕上がりだと思います。

_ おさか ― 2006年10月17日 20時47分04秒

百吉さん、
泣けましたか、ありがとうございます。
あの、百吉さんの「ランドマーク」、ずっと頭にあって。「生きてる人を自分の愛した場所に連れてくる」ってやつ。すごく気に入ってるんです、その考え方。だからこれにもしっかり、入れたつもり、なんですよ~

よっぱさん、
ないっつうに(笑)
あ、そうか、三作品続きましたね、確かに。「夏の空、雪の山」で死んじゃった人がこの「中尉」のつもりで書いてます。露子さんの恋人ももしかしたらこの人かもよ。

_ マロ ― 2006年10月18日 00時46分04秒

 前回の自爆?が嘘のように(笑)、今回はいつものおさか節がばっちり決まってますね。短文で、過剰な言い回しや説明的な文章は極めて抑制して書かれているところを、最も見習いたいと思います。めっちゃ上手い。

_ おさか ― 2006年10月18日 20時18分16秒

マロさん、
ありがとうございます~
でもでも、自爆っていうのはやめてくださいい(仮面舞踏会のトラウマが・・・)
おさか節♪そっかそうなのか。今回は緊張はしてましたが、割とスムーズにすっと書けた気がしています。

_ kilimanjarocafe ― 2006年10月19日 08時42分30秒

ごく近親者に戦争体験者がおりましたが、幸い私の近親者は全員帰ってきました。帰らない人…、言葉がありませんね。ただ、帰ってきても、そのことについて語っている姿は記憶にありません。多くは語りませんでしたね。私も戦時中、戦争将棋でよく遊びましたが、もう一寸早く生まれておれば、狩り出されていたかも。

文章の方、風呂敷で決まりましたね。紅葉も日本も霞の彼方。直線的な表現になりやすい場面でも、うまく形容詞、副詞を使いふくらみを持たせたり、更にまた、体言止めにしたり、場面を大胆に切り替えたりして、冗長になるのを防ぐ。基本的な文章力が高いですね。



_ ukihaji-12 ― 2006年10月19日 16時06分00秒

夏の空冬の山でも泣きました。 今回もまた泣けて泣けて、家内に泣きながら読んで聞かせましたよ。 胸に響き心打つ作品で何とも素晴らしい。 次回も感動させて下さい! 人間とは、何と素晴らしいものである事を。
>「もう、やめとけや、爺ちゃん」
 と最後の二少年の描写が作品を大きく引き立ています。

_ おさか ― 2006年10月19日 19時05分39秒

わわわ。おふたりの重鎮からお褒めいただいてお恥ずかしい限りでございます~顔が上げられません。
kilimanjarocafeさん、
風呂敷!ありがとうございます。戦争関係の話は、私自身はまったく経験していないので、書くのにすごく勇気がいるし、緊張します。「帰らなかった人」に書かせていただいている、という心持ちで。うまくいったとすればその方たちのお陰です。

ukihaji-12さん、
奥様にまで・・・きゃーはずかし。でもukihaji-12さんの朗読なら私も聴きたいです。ありがとうございます。

_ つとむュー ― 2006年10月19日 22時22分08秒

この春、お世話になった方が亡くなった際、奥様のところに挨拶に行った時のことを思い出しました。
「堰きとめられた涙はあらゆる言葉を呑み込む」
ああ、どうしたらこんな表現が書けるのでしょうか。
あの時の気持ちを、鷲掴みにされたようです。

塾長、提案があります。
おさかさんは、次回は基調作品を書いてもらうということで、執筆料をお支払いしましょう(僕は100円出します)。
作品番号は、#013-0000。いかがでしょう(永久欠番?)

無理やり、?な部分を探しました。
「寝たふりをしてくれていた」の部分。
主人公が自分との別れがつらくならないように、という中尉殿の気遣いであることはわかるのですが、軍隊の行動中ということでちょっと違和感を感じました。寝たふりなら、無理やり起こされるんじゃないかと。また、中尉殿が一番偉いのであれば、丁重に連れて行かれるんじゃないかと。でも、高熱でもうダメと皆がわかっていたら、寝たふりも許されていたのかも。当時の戦場の様子がよくわかっていなので、とんちんかんなことを書いているかもしれません。

帰り際に見上げた紅葉の山。とてもきれいでした。
自分も涙があふれてきそうでした。

_ 鹿王院知子 ― 2006年10月19日 22時36分41秒

不思議だわぁ
戦争を経験していないはずのおさか坊がなぜ
こんな文章を書けるのだろう


どの文もきちっとしていて隙がない
きれがある
今までで一番きれがある
つまりとってもいいってことです
内容しかりなんだけど
文の1文1文がいいですなぁ
おさかさんの言葉を借りれば極上ですな

最後栗ご飯でしめたところ
これは、私に対する愛か?(栗ご飯好き)

日本人のDNAに訴えかける話でした

トリップした感じが(時代が現代ではないので)
おさかさんならではの暖かさを醸し出していた
など、感想です
来月はどんな手でくるのか!おさか坊!

_ おさか坊 ― 2006年10月20日 12時41分54秒

つとむューさん、
>軍隊の行動中ということでちょっと違和感を感じました
そうですねー。うーん本当のところは私もわかりかねますが、設定としては戦争末期なんですね。この頃は日本軍、敗走に次ぐ敗走、補給線も断たれてますから、弾薬や薬どころか食べ物もろくにないという状態だったと思われるので、もはや自分一人で歩けない病人やけが人まで連れて行く余裕はなかったのではと・・・「動けないものはここで休んでおれ」という名目で置いていったのでしょう。うう、切ないですね(涙)。

鹿王院知子さん、
たしかに不思議ですね、なんででしょう。なんか降りてきてたのかな(おーらの泉)
「よくぞ日本に生まれけり」のお題を見たとき瞬時にこの話を思い出したのですが、その結論にもっていけるかどうか自信がなくて、しばらく書けないでいました。
急に、なんか書けちゃったんですよ。なんでか。
>最後栗ご飯でしめたところ
>これは、私に対する愛か?(栗ご飯好き)
そうそう、ろくこさん好きそうだな~って(うそ)
だけど、栗ご飯はホントに最後になってふっと思いついたんですよ。で、「おっこれで『おいしい食欲の秋』もクリアだわ~」って。
案外いい加減。やっぱ「うう脳」なんだ私~

_ トゥーサ・ヴァッキーノ ― 2006年10月20日 13時03分15秒

ボクも「うう脳」でした。

_ 日下人 ― 2006年10月20日 15時13分14秒

上手いです、日本人の良さを見事に表しています。
>全軍出発の朝も、寝たふりをしていてくれた。せめても、と水筒に清水を一杯に汲みおいた。
>先程の少年。
「これ、栗ご飯を握ったものです。母から・・・よくお礼を申し上げるようにと」
此処のところ良いなぁー、堪らないジーンとくる。
この少年も凄い、おさかさんに血が流れている。

_ KEN ― 2006年10月20日 17時11分29秒

小説『敵中横断三千里』のワンシーンを思い起こさせるような名場面。重傷者は戦争には連れて行くことができないのは常のようですが、悲しいものがあります。

_ おさか ― 2006年10月20日 20時04分15秒

日下人さん、
ジーンとしていただいて嬉しいです、ありがとうございます。血、流れてるといいなあ。私はあまり機転がきかなくて、後になってから「ああいえばよかった」「こういえばよかった」と思い悩むタチなので・・・。

KENさん、
>『敵中横断三千里』
わからなかったのでぐぐっちゃいました。そしたらまあ出るわ出るわ。絶版になってるのですか?むむむ。読みたい。
それにしてもKENさんの読書範囲ってむっちゃ広くないですか?(あぼがどふるーつ参照)

_ おさか ― 2006年10月20日 20時06分46秒

ヴァッキーノさん、預言者さんも「うう」だって。

さあ皆さん、鹿王院知子さんのブログにGO!
http://rokuoin.asablo.jp/blog/2006/10/19/567466

_ まめひよ ― 2006年10月21日 16時22分25秒

おさかさんのお話に出てくる主人公は凛とされている方が多いですね(←めちゃめちゃ誉めてるつもりです)。どこか1本筋が通っていて、それでいて、どこか愁いを帯びていて、でもとても温かくて優しい。
めちゃめちゃ上手いですよね。
改行で間の取り方とか、勉強になります。
少年が栗ご飯を渡すときにウルッと来ました。

_ いづみ ― 2006年10月21日 22時45分57秒

かっこいいなぁ。
おさかさんの作品って漢(おとこ)組だよ(いや作者は可憐な乙女部なんですけどねっ♪)
こういうきりっとした心情をきっちり構成する力はいやはやすごいなーと。

_ サフラン ― 2006年10月22日 11時51分42秒

きちっと抑制された文体、やたらに飾りたてたところない、また逃げのない書き方に好感を持ちました。
ひとつの臨場感へ向けてここでは、「端のすこし欠けた認印」「木戸」「風呂敷包みをそっ」「栗の握飯」…等々が百パーセントの効果をあげ、そのさりげない使い方を十分心得た作者の方法に感心させられます。
また、「栗の握飯」は、単に物語の状況の説明道具としてだけ使われるだけでなく、ここではひとつの詩的存在にまでなり得ていることが、最高に成功していると思いました。

_ おさか ― 2006年10月22日 15時33分50秒

まめひよさん、
めちゃめちゃ褒めていただいてありがとうございますー。
栗ご飯は思いつきなんですが、ウルっときていただいて嬉しいです。あまり考えすぎないほうがいいのか、うう脳おさか。

いづみさん、
漢組っすか!うっす!ごっつあんです!
体育会系の血は流れてるかもしれん。ありがとです。

サフランさん、
わ、細かい分析をしていただいて、ありがとうございます!私は講評がすごく苦手なので、とても勉強になります。そしてとても嬉しい・・・舞い上がっちゃいますわ♪

_ 木の目 ― 2006年10月22日 23時08分50秒

泣けました。

ただ、負傷兵を残すとき中尉クラスであれば自決用のピストルに弾薬を一発、一等兵二等兵ならば手榴弾ではなかったかと思います。ただ、本編のもつ伝えたいことがそれによって変わるわけではありません。

_ おさか ― 2006年10月23日 09時55分03秒

塾長、お忙しいなかいらしていただいてありがとうございます♪
ふむふむ。自決用の。弾薬、ってまだ余分なのあったのかなあ。南方の戦線の物資不足はかなり深刻だったようですが・・・こればかりは現場にいた人しか。
この間「出口のない海」を読んでいたら、終戦直後、国内の工場で働いてた若い娘たちにも「辱めを受けるくらいなら」と毒薬が配られてたというエピソードが載ってて、ちょっとショックでした。

_ 蝶子 ― 2006年10月23日 15時45分01秒

7行目まで読んで、あ、これは「山下中尉物語3部作」最終編ね、と思いましたよ、私。

>堰きとめられた涙はあらゆる言葉を呑み込む。

「あらゆる」が浮いて感じます。この一文が持つ意味、表現するところはよく伝わりますよ。ほんとに。でも、何だろう、ちょっと違うんですよ、ここだけが。全体の雰囲気から浮いて見えるの。
……とここまで書いて、もはや自分の言っていることが単なる「いいがかり」に過ぎないのではないかという気がしてきた。おさかさん、気を悪くしないでね。

>先程の少年。

から後の数行はこのお話のクライマックスで、一番感動させるところだと思います。えらいなあ、この子。口を真一文字に結んだ表情が浮かびます。えらい。ほんとに。

でも、そのあとちょっと長い気がしました。「中尉殿。」のあとの3行、なくてもいいのでは? なんとなく、「日本」とか「いのち」などの言葉が、字面として押しつけがましい。書かなくても、人物の気持ちや情景は十分ににじみ出ていて、読む者をすでに揺さぶっています。書きすぎて効果を減退させてしまうことも、あります。
……って、また言いがかりみたいだっ……けど、おさかさんだから、しつこくねちこく言うんだからね!

今回も傑作でした。これからもさらに腕を磨いてください。

_ おさか ― 2006年10月23日 18時21分15秒

蝶子さん、
いついらっしゃるかと楽しみにしておりました。ああ冷静な分析が心地いい。気を悪くするなんてとんでもないっすよ。

さてこのあとは言い訳モード(笑
「あらゆる」ね、私も実はあまり気に入ってないの。でも他の言葉を思いつけなかった。ぜんぶ、じゃダメだし、どんな、じゃ軽いし、うーん。

「中尉殿」のあとの三行は、これを感じ取ってほしいなという、そのものなんですが、そのものすぎてイケナイのでは、という迷いはありました。そういう迷いはいつもどこかしらあるんですが(結託は迷いの部分がちと大きすぎた例)、今回はエイヤ!と、ストレートにいってみました。

ありがとうございます。特に少年を褒めていただいて嬉しい。私もこの少年は大好き。

_ ファイト ― 2006年10月23日 21時21分51秒

少年のセリフ、どちらも泣かせます。こういう事が各地であったんでしょうね。

_ ミスター・カトー ― 2006年10月23日 21時50分45秒

良い作品ですね。何度も読み返してしまいました。
泣けます。
800文字の文章を読んでいるのに映像として浮かんで来るような感じです。
やっぱり少年が良いですね。

祖父から戦争の話を何度か聞いたことが有るんですが、それらの話を思い出してしまいました。

_ やまのやまめ ― 2006年10月24日 11時11分05秒

重くて美しい作品です。
 想像も出来ないような戦争体験が、祖父の時代には確かにあった。お年寄りが何も語らないのは、辛すぎて思い出したくないのでしょうか。

_ おさか ― 2006年10月24日 11時14分42秒

ファイトさん、
ミスター・カトーさん、
やまのやまめさん、
コメントありがとうございます。

もしかしてもう、知っている人はこの「少年」の世代しか残っていないのかもしれない。今からでもいいから語ってほしいですよね。直接戦争を体験してなくても、充分人に訴えかける力を持った話だと、私も改めて実感しています。

_ おさかさんへ 蝶子 ― 2006年10月24日 11時41分42秒

>堰きとめられた涙はあらゆる言葉を呑み込む。

「堰きとめられた涙は」、「呑み込む。」の形にこだわりをこめてらっしゃるとしたら、下記の修正案はすべてボツです。また、一方でこの一文の良さは、読点なしで一気に読ませる勢いであるとも、思っています。(そういう意味でも、ボツです)
が、とりあえず、たわごとと思って読み流してくださいまし。

堰きとめられた涙は、どのような言葉をも呑み込んでしまう。

堰きとめられた涙が、ありきたりな言葉を呑み込んでいく。

言葉は次々に、堰きとめた涙に呑み込まれ声にならない。

…どれも字数は考慮していませーん。

_ おさか ― 2006年10月24日 16時31分05秒

わ~面白い!字数は超えちゃうけど(笑
どっちかというと、「堰きとめられた涙」のほうにこだわりがあるかも~。

逆にすることも考えました。

言うべきことのすべては涙に堰きとめられてしまった

とか

堰きとめられた涙が言うべき言葉をも呑みこんでいく

とか。
これも字数が・・・うーんやっぱ難しいのだ~。誰か他に案はありませんか~?

_ 露山露 ― 2006年10月25日 09時21分23秒

>堰きとめられた涙はあらゆる言葉を呑み込む。
ずっと見ていると、この個別の状況を超えて、あらゆる状況に普遍的に成り立つ文のように思えてきます。「あらゆる」が曲者なのかなあ。蝶子さんの修正案3つのいずれにも「あらゆる」は出てきません。

「あらゆる言葉」が「呑み込」まれたのなら、車を呼んでくれるというのをどうやって「固辞」したのだろう(ボディ・ランゲージ?)、というつっこみジョークは措いといて(笑)、「中尉殿は立派な方でした」「誰もが慕っておりました」という言葉は、実際は口に出されなかった。涙がそれらを呑み込んだ。

「涙をのむ」は「泣きたいほどの残念な気持ちを抑える」という意味でgoo辞書に載っていますが、「涙が~をのむ」といった表現はおさかさんオリジナルのレトリックでしょう。涙をのむように言葉をのむ、イメージの重なりの効果が出ていると思います。

ただ、「堰きとめられた」不自由の身である「涙」に、「呑み込む」といったポジティブな運動がどこまで可能だったか、という不安を感じなくもありません。

こだわりは大切にしてほしいと思う者ですが、5つの修正案のなかで、おさかさんの「言うべきことのすべては涙に堰きとめられてしまった」にぼくは注目しました。

 涙が堰きとめられていない!

涙が或る感情を表出してしまうことを自ら禁じていることはほのめかされていてほしいので、「涙とともに」とでもなっていると個人的には好みなんですが……。

_ おさか ― 2006年10月25日 14時01分04秒

>涙が堰きとめられていない!
やばい!ほんとだ!
言うべき言葉のすべては涙とともに堰きとめられた
ですね。
やっぱいいかげんな私(苦)おしもおされぬ「うう脳」だな。

_ nonstopdiva5204.jimdo.com ― 2017年07月30日 11時45分35秒

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