#011-0016「粋なおかみさん」[粋と艶]馥さん2006年09月16日 08時26分06秒

粋なおかみさん

「四枚におろしてください!」とその客は言った。
店のおかみさんと、陳列ケースの前にいた5~6人の奥さん
連中達は一瞬それぞれに魚の四枚おろしとは「?」
と考えたに違いない。
ところがさすがに魚屋のおかみさんは、
「四人分にするのですね?」
「そうやわ~あははは~あほやな~わたし~もうあかんわ~」
と大きな声でその奥さんは照れた。
「私も四枚?って考えたけどわからへんかった~」
「いや私は三枚にした身の方を又皮を剥ぐ事かな~と考えて
しも~てんよ~」
「私は身を又半分におろすのかな~そしたら今夜はフライだ~
な~何て思ったわ~」
と今朝も魚屋の店先はおかみさんを中心に賑わった。
いつも陳列ケースの奥のほうで、のれんで顔は見えないが
客の注文通りに魚をさばいているおかみさんの旦那が、
のれんをめくって「まいど~」と顔を出した、
そして「何でもやりますよ~」と笑って云った。

「鰯そんなにぎょうさん買はって何を作りはりますの~」
鰯の盛りを3杯買った私に、隣に居た奥さんが聞いた。
「骨取ってミンチにして牛蒡人参椎茸たまねぎ三度豆青葱など
冷蔵庫の野菜の残り物をみじんにきざんで卵おろし生姜を
入れて混ぜ混ぜして団子にして油で揚げるんよ~」
聞いた奥さんは目をきょろきょろさせていたが、
周りで聞いていた奥さん連中が、「美味しそうやんか、今夜
作って見よ~か~ やす~うていいし~」
と云ってそれから3~4杯の鰯の盛が売れた。

「はい、氷入れといたよ~ たっぷりと、おおきに~」
と云っておかみさんが魚の包みを渡してくれた。
「? はははは~ お喋りせんと~早よ~真っすぐ帰らな
あかんな~おおきに~」
いつも途中で、知人に会ったら立ち話がはずんでかなか家に
帰り着かない私を良く知っているおかみさんなんだよな~。
レシートに100円引きと書いてあった。「おおきに!」


(文字数:756)

コメント

_ ミスター・カトー ― 2006年09月17日 15時27分48秒

店先の奥様連中の井戸端会議の様子ですね。
奥様連中は普段からの鬱憤を晴らせて楽しいだろうけど・・・
結構、邪魔なんだよね。うるさいわ、通り道塞いでるわでか弱い旦那衆は肩を窄めて通ってますのや!・・・なんてね。
おばちゃんの威勢の良さが上手く伝わっていると思います。

_ トゥーサ・ヴァッキーノ ― 2006年09月17日 20時04分24秒

「粋」には2種類あるんだと思いました。つまり「いき」と「すい」です。「いき」の方はどっちかというと東京的な意味合いが強いと思うんですが、「すい」になると関西特に大阪的な趣があるんじゃないかと。だから、この文章は「すい」ですね。
でも、「艶」についてはどこにあるのかボクにはわかりませんでした。もう少し、おかみさんに艶があればと・・・

_ マロ ― 2006年09月18日 00時39分59秒

 何気ない日常の一こまなのですが、とてもいい話。魚屋を中心に人の輪ができているのが、いいなぁ。みんな地に足をつけて生活している感じ。悩みや問題はそれぞれに抱えているけれど、総じていえば幸せだ、と。読後感が非常によかった。癒されました。

_ ファイト ― 2006年09月18日 10時52分54秒

「粋と艶」で、どうしても「色っぽさ」などに向かってしまう俺。
「粋と艶」をしっかりと理解されていると思いました。

「四人分にするのですね?」
この台詞から始まってたたみかけてくる会話。
おもしろかったです。

_ ふく ― 2006年09月19日 00時48分12秒

ミスター・カトー さま
読んでいただいて有難うございます。
いつもの事ですが、良い文章も全く書けないしそれで今回は関西風の言葉でごまかしたようで気がひけています。
個人の魚屋は、スーパーとは又違った雰囲気で結構面白い所ですよ、旦那衆も何人も見えていますが”うるさいヮ~”とやはり思っていらっしゃるでしょうね、反省しています。

_ ふく ― 2006年09月19日 01時17分02秒

トゥーサ・ヴァッキーノ さま
コメント有難うございます。
何時も友人にでもメールを送るようにバシャバシャとくだらないものを書き込んで投稿したりして、何ておこがましい事かと気がひけて居ます、
無粋ですいません! と軽口たたいてごまかして又反省しています。

_ ふく ― 2006年09月19日 01時41分42秒

マロ さま
コメント有難うございます。
魚屋は勿論、病院の待合室でも、お稽古の教室でもいつもこんな状態にしてしまって帰って来てからしまったと後悔しています。
幸せかどうかは分かりませんが、じたばたしたってしょうがないし、開き直て毎日を過ごしています。
でも結構楽しいです、この文章塾もありますし。
お世話になります、宜しくお願いします。

_ ふく ― 2006年09月19日 02時00分21秒

ファイト さま
コメント有難うございます。
私には、色っぽさと云うのがどうも不似合いで気恥ずかしくて書けないのです、それでついおふざけになってしまいます。
この塾で修行をさせていただこう考えて居るのですが、お邪魔虫かも分かりません。

_ mukamuka72002 ― 2006年09月19日 18時05分31秒

楽しんで書いてますね。それが読者にも伝わります。
のれんをめくって一瞬出てくる旦那もとてもリアリティがありました。
四枚から弾む会話、夕暮れ時の商店街、無粋なスーパーの袋ではなく買い物かごを下げたご婦人方の少し浮き足立った情景が目に浮かびます。

間違っていたら失礼ですが、ふくさんて、三角顔の蝮さん?

_ ぎんなん ― 2006年09月19日 22時17分18秒

会話の軽快さでするするっと最後まで読んでしまいました。説明とか無くても目の前に浮かぶようで、いいですね。面白かったです。
鰯団子が美味しそう。あ、よだれが…。

_ ファイト ― 2006年09月19日 22時57分55秒

>お邪魔虫かも分かりません
いや、それは俺の方かもネ。

横レス~

mukaさん
山口県下関市では河豚(ふぐ)を「ふく」と、縁起の良い呼び方をします。よって、ふくさんは、丸顔。怒った河豚。
(わかってる、三太夫だろ?)

_ ファイト ― 2006年09月19日 23時00分38秒

ぎんちゃん
口閉めなさい!

_ おさか ― 2006年09月20日 09時54分19秒

商店街のおばちゃん。テンポのいい、切れのある会話。きっぷのよさ。まさに粋。いいなあ、好きです。
鰯団子、美味しそ~ですよね~、でも今では鰯って高級魚・・・。

_ ふく ― 2006年09月20日 15時55分12秒

ぎんなん さま
 面白かったのは、断然ぎんなんさんのお話のほうが上の段ですよ。
 
 鰯の団子は冷蔵庫の残り物の整理をする時に一番です、子供と一緒に作ったら、ぐちゃぐちゃ混ぜる所など喜びますよ~

_ ふく ― 2006年09月20日 16時09分06秒

ファイト さんッ! 
ひどーい河豚だなんて!~でも良く見てる~怒ったら丸顔、

_ なぎさひふみ ― 2006年09月21日 00時46分51秒

 日常の幸せにふと時間が流れて、時間の流れに止まる緩やかな幸せを感じます。

_ ふく ― 2006年09月21日 10時40分11秒

おさか さま
 騒々しいおばさんの話でしょう、いつもこんな調子でいい歳をして恥ずかしいですわ。
 
 鰯も春に最初10センチぐらいから、今は25センチぐらいに成長したのが店に出ています、頑張って生きて居るのだな~と感じて見ていますが、やはり美味しそ~と見るほうが少し強いです。

 読んでいただいて有難うございました。

_ ふく ― 2006年09月21日 10時55分33秒

なぎさひふみ さま
 いつも美しいお言葉で優しく私にコメントを下さり有難うございます、がさがさの私も、ほっと落ち着きを取り戻します。
きっと毎日の生活もこの様に上品に過ごされていらっしゃるのでしょうね。

_ よっぱ ― 2006年09月21日 19時39分35秒

昔ながらの商店街とそこに集う奥さん達の活き活きとした雰囲気がとてもよく伝わってきてすごく良いと思います。
鰯のつみれもいいですね~

_ くれび ― 2006年09月21日 22時14分14秒

きっぷのいい粋なおかみさんと、人のいいだんなさんがいる魚屋さん、いいですねぇ。
もちろん最近そんな店に行く機会はないけど、小さい頃母親がよく作ってくれた鰯の団子(と呼んでました)の味を懐かしく思い出しました。

_ 百吉 ― 2006年09月21日 23時36分02秒

いいな〜 こういう感じ。
うちの近所には魚屋さんがなくなってしまいました。
もっとも、魚屋さんが開いてる時間には行けないのですが。
鰯団子もおいしそうだなぁ。
鰯好きにはたまりませんなあ。
口調がリアルで、私も一緒になって鰯を買い求めている気分になれました。

_ 馥 ― 2006年09月21日 23時48分36秒

よっぱ さま 
 商店街では顔を覚えられるから、お買い得品を教えてくれて良い時も有りますね、
 我が家はいつも冷蔵庫の整理物ばかりが夕食に出ます。読んでいただいて有難うございました。

_ あかとり ― 2006年09月22日 00時02分33秒

あったんですよねー、前は。こういう商店街の一コマ。
商店街のスピーカーから流れる割れたBGMだとか、お使いに小銭を握りしめている子どもとか、吊されたザルからお釣りを渡すおかみさんだとか・・。
なんか、色々郷愁を誘う文章でした。

個人的に気になった点で、会話カッコ「」の前後は改行をもっとしても良いかなと思いました。
文字数にカウントされませんし。

_ 馥 ― 2006年09月22日 00時07分41秒

くれび さま
 最近この近辺もスーパーかコンビニかが多くなってきました、何時も行く魚屋はまあ良いのですが、隣の果物屋の兄ちゃんが、あか~しんどい!と云って居ますので頑張り~やって云って来ました。
鰯の団子美味しいですよね、栄養が有って良いですよね。

_ 馥 ― 2006年09月22日 00時17分51秒

百吉 さま
 ここの魚屋流行っているのですよね、やはりおかみさんの粋の良さでしょうかね、魚も新しいし、お客も良い品物を見る目を持っていますね。
読んでいただいて有難うございました。

_  馥 ― 2006年09月22日 00時38分12秒

あかとり さま
 そういえば最近、ちんどん屋さんを見なくなりましたね、以前は賑やかでした。

 アドバイス有難うございます、まだパソコンの使い方も文字の入力もおぼつかなくておろおろしています、そうゆう所も気をつけなければいけませんね、有難うございました。

_ 鹿王院知子 ― 2006年09月23日 15時20分34秒

こういう商店街でのお買い物っていうのが
今はないから
お店の人とのやりとりって減ってしまいました

特にお魚屋さんなんて
粋ですよね
威勢がよくって

私も商店街のお話を書いたのですが
非常に共感を持ちました

卵屋さんとか、お茶屋さんとか
いろいろなものは売っていなくてそれだけ
プロって感じでした
プロ=粋という感じもしています

ほのぼのとした
心がほっとするいい作品だと思います

_ anonymous ― 2006年09月23日 19時16分20秒

>レシートに100円引きと書いてあった

この台詞に魚屋のご主人の粋と、主人公の艶を一言で埋め込みましたね。うまいです。江戸前の粋と艶ではでない面白さです。

_ つとむュー ― 2006年09月23日 21時55分48秒

文を繋いでいる「~」と関西弁って、結構合いますね。新たな発見でした。秋茄子に馴染んだ油みたい。「馥」は「ふく」と読むのですね。これも新たな発見。
ところでanonymousさんは、塾長ではないかしらん?

_ 木の目 ― 2006年09月23日 22時10分00秒

つとむューさんのまえのコメントわたしです。ああ・・・

_ ファイト ― 2006年09月23日 22時16分54秒

お~いmukaさん!ここにも↑似た人がおった!

_ 木の目 ― 2006年09月23日 22時19分01秒

これこれ。ここはスルーして・・・
にしても、ミスを見つけるのはやいなぁ。

_ 馥 ― 2006年09月23日 23時35分14秒

鹿王院知子 さま
がさつな落ち着きの無い文章だと自分で恥ずかしく思って居ました、でも読んでいただいて嬉しいです、有難うございました。

少しおやすみになるようにお聞きしましたので、ご病気か?と案じておりましたが、
お義母様が..のお話だったのですねですね、一日も早くお心もお身体もお元気になられますようにお祈りいたします。

_ 馥 ― 2006年09月23日 23時59分16秒

木の目 さま
大変お世話様になっております。
お仕事も、この塾のお世話などでもお忙しくしていらっしゃいますのに、私にもコメント頂いて有難うございました。
お疲れが出ませんように、お若いから大丈夫でしょうか。

_ 馥 ― 2006年09月24日 00時55分37秒

つとむュー さま
この話しが、何処にでもある普通の事ですので、言葉を関西弁風にしてみたのですが、関西の方がお聞きになったら絶対に違っているとおっしゃるに違いないとひやひやしています、でも私にはこんな風に聞こえるのす、関西の方ごめんなさい。
じつは「~」が声に音になっていたら良いのにな~と思いながら書いて居たのですよ。

はい 馥(ふく)云います、宜しくお願いします。
今回スタッフの方やmukamuka72002さんにはお世話になりました。

_ でんち ― 2006年09月24日 18時32分25秒

スーパーに入っている魚屋さんも結構おしゃべりだったりするんですよね。
魚屋はこうでなくちゃですかね。楽しかったです。

_ 秋尾 ― 2006年09月25日 08時22分08秒

言葉の歯切れも良い声美人たちの会話の活写は見事ですね。女性達の情報伝達の凄さを垣間見たような、そんな気がします。(~_~)

_ コマンタ ― 2006年09月25日 13時44分00秒

お華のお免状といっしょにいただいた名前(の一部)でしたね。いいかおりがします。文章は関西弁の効果もあるでしょうか、無造作に撓めたような感じが出ていてでいて、間(ま)とともに、若造の頭と筆ではこうはいかないと思わされました。そうした間(ま)がコメントにまじると、ときに公案をあたえられたかのような気分になることがあります。

_ 蝶子 ― 2006年10月03日 17時46分15秒

うちのまわりはこんなおばちゃんばかり。こんな魚屋さんも八百屋さんもあります。仲間入りするには、私はまだ年季が足りないかなって感じです。楽しく読ませていただきました。

>「四人分にするのですね?」
と、
>私を良く知っているおかみさんなんだよな~。
も、関西弁にしたらよかったと思いました。

_ 馥 ― 2006年10月05日 23時12分28秒

蝶子 さま
読んでいただき有難うございました。
「四人分にするのですね?」と
「私を良く知っているおかみさんなんだよな~」
の所を関西弁にしたら良かったとおっしゃってくださいました、そうですねそれが良いですね、気が付きませんでした。
この言葉関西弁にしたらどんな風に云ったら良いのか教えてください、本当は私は関西人ではないのであまり良く分からないのです。

_ 馥さんへ 蝶子 ― 2006年10月06日 11時31分40秒

この流れでいくとですね、

「四人分にするのですね?」
→「四人分にする、いうことやね?」

「私を良く知っているおかみさんなんだよな~」
→「私のこと、よう知ってるおかみさんやねんな~」

ただ後者は地の文なので、関西弁にすると違和感があると思い直しました。ですから:

「いつも途中で、知人に会うたび立ち話がはずみ、なかなか家に帰り着かない私を、おかみさんは良く知っているのだ。」

という感じで締めたほうが、作品全体もきりっとします。というわけで、訂正。

_ 蝶子さんへ 馥より ― 2006年10月06日 23時11分51秒

すみません早速教えていただいてありがとうございます。
関西弁を、中途半端な覚えで軽く使って書いてしまって居ました。
最後の所もきちっと締めていただいて、私の背筋もピンと引き締まりました。
有難うございました。

_ manicure ― 2017年05月03日 12時26分46秒

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_ foot pain map ― 2017年07月04日 08時35分08秒

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