#004-0002 「タイムマシン・ルーペ」つとむュー さん2006年01月10日 11時02分21秒

クルクルッ、バッシャーン!
急に体が軽くなったと思ったら、いきなり水の中に落とされた。
何がなんだかわからない。
恐る恐る周りを眺めてみると、そこは穏やかな南国の海辺の風景。
きれいなサンゴ礁が、浅瀬を作っている・・・
 
いったいどうしてこんな事になったのだろう。
旦那の書斎に忍び込み、変な箱を見つけたところまでは覚えている。
その箱には「タイムマシン・ルーペ」と書かれていた。
箱を手に取り、中の物をそっと出してみる。
なんてことはない、ただのルーペだ。
試しに、机の上のサンゴの化石を見てみよう・・・とそこで、
ふわっと急に、体が軽くなったのだ。
 
「このルーペで石を見ると、その時代に行くことができます」
海水に膝までつかりながら、ルーペに書かれている説明を読む。
するとここは、サンゴの化石ができた時代ということか・・・
でもそれならば、そんなに悲観することはない。
現代に帰るためには、
現代で作られた石をこのルーペで見ればいいのだ。
 
身につけている物の中に、そんな石はないか探してみた。
すると、まばゆい南国の太陽に、指輪がキラリ。
これは結婚するときに旦那がくれた物だ。
リングの中に、小さなダイヤが埋め込まれている。
このダイヤが人工だったら、現代に帰れるはずだ。
 
しかし、もしこのダイヤが本物だったら・・・
その時に飛んで行ってしまうダイヤが結晶した世界って、
いったいどんな所なんだろう。
そんな得体の知れない所に行くくらいなら、
いっそ、この南国で暮らした方がいいのでは・・・
 
ガサガサ!
不意の物音に思考が中断する。
海岸を見ると、森の中から映画でよく見る凶暴な恐竜が!
この海辺には隠れるところは全くない。
見つかるのも時間の問題だろう。
覚悟を決めて私は、あのルーペと指輪を握りしめた。

コメント

_ ぎんなん ― 2006年01月10日 22時01分47秒

旦那の愛が本物ならば主人公はとんでもない昔に飛ばされ、
旦那の愛が偽物ならば主人公は結婚当時に飛ばされて旦那とひと騒動…、
あれ?ってことはどっちにしても元の時代ぴったりには帰れない!
もしかして、ダイヤじゃなくて地金の方では駄目?(プラチナや合金は石じゃない?)
元の時代ぴったりに帰ろうと思ったら何を持って行けばいいのだろう?!
などと、読み終わった後いろいろな事を考えてしまいました。
話自体は非常に楽しく読みました。

_ つとむュー ― 2006年01月11日 07時34分28秒

ぎんなんさん、早速コメントありがとうございます。想い描くラストシーンは、皆さんそれぞれ違うと思います。皆さんの頭の中ではどんなラストシーンになっているのか、想像するのが楽しみです。
「つとむュー」のページを作りました。上の「つとむュー」のペンネームのところをクリックすると、リンクされていると思います。

_ たまどん ― 2006年01月11日 11時44分42秒

描き出された経過から、いずれも「ろくな事にはならぬ」という未来が予見できて、実はとても面白く感じてしまいました。ダイヤは炭素の結晶で、石炭を加圧縮して出来るわけですから、本物だと石炭紀とかに飛ばされるし、ガラスも元々は硝石ですから、その成り立ちの時代に行くとなると・・・。石のできた時代というのが、石の元となる存在があった時代なのか、石の形状を決定した時代なのか。ルーペの謎が深まります。

_ おさか ― 2006年01月11日 13時44分57秒

皆さんも書いてらっしゃいましたが、いろいろな想像がふくらむお話ですね。
実は全部、愛人持ちの旦那の謀略で、邪魔な妻を
どこかに飛ばすためにそんなルーペを・・・とか、
意外に妻のほうがしたたかで、行った先々でたくましく
生き延び、ついに帰れる方法を見つけるのでは、とか。
楽しく読ませていただきました。

_ ママプリ ― 2006年01月11日 14時54分21秒

ダイヤが本物だったら・・・映画「バックトゥザ・フューチャー」や「インディー・ジョーンズ」みたいな息もつけない冒険物語の始まり!
ダイヤが人口だったら・・・何事も無かったかのように日常にもどるだけ。でも、その後の夫婦関係が微妙に違ってきたりして・・・(笑)
いろいろ想像をめぐらすことのできるラストが印象的でした。

_ 菜の花 ― 2006年01月12日 04時29分31秒

皆さんが書かれているように、いろいろな想像をかき立てる作品になっていますね。
そもそも、主人公はどうして旦那さんの書斎に忍び込んだのか、恐竜に指輪をルーペで見せて、もし恐竜が現代に飛んでいってしまったら...
読む人それぞれが楽しめます。

_ くれび ― 2006年01月12日 12時01分42秒

手に汗握るラストです。
私も自分の結石かなんかとっといて持ち歩こうかなぁ。

_ つとむュー ― 2006年01月12日 12時19分45秒

たまどんさん、おさかさん、ママプリさん、菜の花さん、くれびさん、コメントありがとうございます。
そうそう、恐竜にルーペで石を見せるという手もありますよね。また、人体の中にも石ができたりしますし・・・
このルーペでいろんなところに冒険してみたいので、テーマが「小説」の時は、続編にしちゃおうかな、とズルイことを考えています。でもこのルーペで雪のあるところに行くには、どうしたらいいのだろう。

_ クマザラス ― 2006年01月12日 20時26分54秒

ドラエモンの道具っぽいかも、なんて思いました。
雪のあるところに行く方法は私も思いつきませんが、なんとかユキにからめて、続編を読ませてもらいたい、と思います。よろしく。

_ ひまわりまるこ ― 2006年01月12日 21時28分19秒

楽しませていただきました。 ダイヤは本物だということになっていて、微かに疑いが残っているのか、、、だとしたら、主人公の冷静な思考が気になりますね。 でも、この噺のアイディアが浮かぶまで、大事な指輪をじっと見つめて考えていたのかもと想像しています。

_ いづみ ― 2006年01月13日 00時32分09秒

アハハ~人工のダイヤをくれただんなに感謝!でも本物も買ってね!というオチですね、私の中では。つとむューさんの文章はさくさくと歯切れよく読めます。タイムマシン・ルーペシリーズ、期待しています。

_ 木の目 ― 2006年01月13日 23時13分06秒

これは事実に違いないと確信。多分、戻ってきた奥さんにタイムマシンルーペで後頭部を殴られながら書いているはずだ。壊れやすかったルーペはそれが元でひびが入って、使えなくなってしまったのだ。泣きながら書いているつとむューさんの姿が見えるようだ。顕微鏡を見ながら太古に思いをはせているようで、とてもおもしろかったです。

_ 明衛門 ― 2006年01月14日 05時29分19秒

旦那さんは使ったことあるのかなぁ、それともやっぱり
奥さんに見せるために買ったのかなぁ、、などといろんな
ことを考えてしまいました。
以前「虎か女か」という作品の話を読んで、面白いなぁ、
と思ったのですが、自分では全くアイディアが浮かびません
でした。アイディアがすごいなぁ、と感動しました。
恐竜が登場したことで、一気に迫力が増していますね。
シリーズ!私も希望します!

_ つとむュー ― 2006年01月14日 08時44分14秒

クマザラスさん、ひまわりまるこさん、いづみさん、木の目さん、明衛門さん、コメントありがとうございました。
実は、あのダイヤは本物なんですよ(笑)。次回は、続編はお休みして、ダイヤは本物だーっ!という作品にしようかな、とも思っています。
木の目さんのコメントには爆笑させていただきました。「つとむュージック」にも書き込みしていただきありがとうございます(つとむューのページからリンクをはりました)。

_ ふう ― 2006年01月14日 13時55分06秒

相手が旦那さんなのに、その書斎に「忍び込む」間柄というのが、微妙な夫婦関係を想像させられました。
旦那さん、奥様に隠れて相当ワルイ遊びをしてきた方かしら?
・・だとすれば、奥様が忍び込むのを予見、あるいは期待して、旦那さんが、さりげな〜く目に付くところにその箱と石を置いておいたのだったらーーー。これほど完璧に犯罪の跡をのこさず妻を消す方法はない。。。
そしてその夫を影で操りそそのかす人物と妻とが、妻がこの小説の最後にワープした先で偶然出くわしたとしたら。。
勝手な推理がぐるぐる巡らさせられ、楽しめました。

_ KEN ― 2006年01月14日 14時00分37秒

ドラえもんの世界みたいでいいですね~。
次はだんな様と一緒にタイムスリップして欲しいです。

_ 泰 ― 2006年01月14日 17時01分07秒

 石のできた時代に行く、とすればいずれも太古の昔、いや最近噴火したばかりの火山の溶岩だったら……。想像力があまり羽ばたきません。
 石の蒐集は、最後の趣味とか、植木や盆栽などにあきると石にたどり着くそうですから、旦那様の机に石のコレクションが並んでいて、それぞれに行き先が書いてあったりすると面白いですね。奥さんの手術で取り出した胆石なんか混じったりしていて。
 

_ ぽかぽか ― 2006年01月14日 17時07分39秒

本文もおもしろいし、みなさんのコメントもおもしろい(笑)。
タイムマシン・ルーペ、その発想いいですね~。続編、期待します。よろしくお願いします(^^)

_ Lucky16 ― 2006年01月15日 11時43分14秒

なぜ旦那の書斎に忍び込む必要があったのか?
ダイヤを人工と疑う事情があったのか?
ダイヤ入手の経緯についての続編は是非挑戦して欲しいと思います。

_ つとむュー ― 2006年01月16日 00時34分54秒

ふうさん、KENさん、泰さん、ぽかぽかさん、Luchy16さん、コメントありがとうございます。
主人公が旦那の部屋に忍び込んだのは、この書斎に防音工事がされてないからです(笑)。いろんな石の産地を旅する絵本を作りたいなあ、と思ったのがはじまりです。やはり問題は、どうやって現代に帰るかですね。まあ、数年さかのぼってしまっても、恐竜の世界にいるよりは人間のいる世界に戻れる方がいいような気がします。

_ こば ― 2006年01月18日 22時28分11秒

 冬の日本から珊瑚礁の海へ、ちょっと頭の中だけでも旅行の気分です。とは言っても実際こんな目にあったら旅行気分どころじゃないでしょうね。
 軽妙な文章と、皆様のコメントも読んで、2度楽しい思いをさせて頂きました、けれど。
 旦那さん、このルーペを使った事はあるのでしょうか。その時は一体どうやって帰宅したのかなぁ、なんてことも考えます。現代の石、と言ってもその組成を考えると……プラスチックだって石油すなわち化石なわけですし……。
 楽しませて頂きました。

_ 蝶子 ― 2006年01月19日 12時17分16秒

実は「たたまない男」からつとむューさんのファンです。
今回は浦島太郎の気分を味わいました。主人公はきっと、元の時代には帰れないでしょうね。帰らずに冒険を続けて欲しいなあ。

_ でんち ― 2006年01月19日 21時17分08秒

タイムマシンという言葉でウキウキしてしまいますから、期待して読みましたよ。おもしろかったです。妻、そこで悩むんでないよ~、しかも、そんなおもしろい悩み方すんなよ~とかツッコミ入れたくなりました。最後、読ませてほしかったなあ。と、見事に作戦にはまっております。

_ めきし粉 ― 2006年01月20日 21時40分46秒

軽妙な味の中に、ダイヤの真贋と愛と疑惑が絡まりあって脱帽です。
ただ、ガラスではなくてジルコンなんかのイミテーションだったら、真相はわからずじまいかもー

_ 鹿王院知子 ― 2006年01月21日 01時05分16秒

夢があって楽しかったです
だんなの部屋でみつけちゃうところだけが
妙にリアルで
現実と不思議な感覚の部分が
いい分量で交じり合っているという感じです
創作ってこういうことなのかなぁ
と考えちゃいました
面白かったです!!

_ つとむュー ― 2006年01月21日 07時28分47秒

こばさん、蝶子さん、でんちさん、めきし粉さん、鹿王院知子さん、コメントありがとうございます。
どれが石なのか、もしそれが石だったらどんな世界でできたのか・・・。このルーペを使うことで、もっと多くの人に地学に興味を持ってもられえたらうれしいです。
人工ダイヤと聞いてジルコンが出てくるところから、やはりめきし粉さんは地学にたずさわっている(いた?)方のようですね。でんちさんのツッコミも面白いですし、そして、ずっと読んでいただいている方がいるというのは本当にうれしいです。これからも、一生懸命がんば・・・ると肩に力が入りますので、適当に末永く続けていきたいと思います。

_ underwooducxmwmirfe.jimdo.com ― 2017年07月30日 17時24分24秒

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